会長挨拶

「2023年 忍耐強い努力が報われ、長し飛躍する年に」

金芳秀(キム・バンス)

明けましておめでとうございます。
2023 年の輝かしい新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
在日同胞の皆様におかれましては、地域社会の経済発展と在日同胞社会との関係強化、また韓日関係の発展にご尽力を賜り、年頭に当たり厚く御礼申しあげます。
そして、本格的な日常生活回復に向けた動きが加速する中で新年を迎えられたことを皆さまと共に喜びたいと思います。

本年の干支であります癸卯は、これまでの忍耐強い努力が報われ、成長し飛躍する象徴と考えられています。一日も早く日常生活を取り戻す為にも我々は、目の前にある未曾有の事態を、覚悟を持って忍耐強く、変化に対応しながら乗り越えなければなりません。
同時に、この危機を機会に変え、大きく飛躍していかなければなりません。そして今こそ、創設当初の精神に立ち返り、商工会議所として力を尽くさなければいけないと考えます。先人達の血と汗と涙の結晶であり、不断の努力により1962 年に在日韓国商工会議所は創設されました。在日同胞経済人が、61 年の歴史の中で様々な差別や困難に直面してきましたが、先人達はこれらの脅威や変化をチャンスと捉え、組織やそれぞれの事業を発展させてこられました。
我々の目の前には様々な障壁がございますが、創設の精神を胸に皆様と手を携えながら、経済環境の再生に向けて韓商活動を推進してまいります。
私は、創業精神を胸に、韓商活動の先頭に立つ覚悟をもって、昨年6月、一般社団法人在日韓国商工会議所第13 代会長に選出していただきました。そして以下の5大方針を掲げ、顧問団、会員、地方韓商とともに各事業を推進しております。

1つ目が、事業に直結するサービス提供であります。
会員企業の事業に直結するサービスの提供が求められています。今後、コロナ禍によ
る事業への影響が更に強まる事が想定されることから、特に具体的には金融関係、税務関係に関する情報、経営セミナー等のサービス提供が急務であると考えます。また、第60 期より事業委員会において準備が進められている部会活動を本格的にスタートさせ、事業別サービス、そして異業種交流の場等を
提供していきます。働き方改革等、社会の変化に会員企業が迅速に対応できる様、専門の先生を招いての勉強会も必要と考えます。

2つ目は、ルールに基づいた組織運営であります。
地方韓商の一社化は、慎重さとスピード感のバランスで取り組むべき最重要課題であります。日本の法人格を取得している(一社)在日韓国商工会議所は、日本のルールに基いた組織運営が責務ではないでしょうか。当会議所を構成する地方韓商にはこの点を改めてご説明申し上げると同時に、一社化に向けたマニュアルを作成し、ゴールを設定した上でスピード感を持って各地方韓商の理解を得なければならないと考えます。地方韓商の状況、意見をお聞かせいただいた上で、誠意をもって丁寧に対応していく必要があります。

3つ目は、地方韓商なくして在日韓商無し、であります。
在日韓商は地方韓商の連合体であり、主役は地方韓商であります。地方韓商の発展なくして、在日韓商の発展は有り得ないです。この基本理念は2016 年の出帆以降、歴代会長が述べてきた見解であります。現在、16の地方韓商が在日韓商と歩みをともにしており、最も重要な事は各地方韓商の実情に則し
たフォロー体制を在日韓商が構築することではないでしょうか。その上で、韓商を創設・再建できる地方を調査し、積極的に支援していきます。また、地方韓商と各都道府県・日本商工会議所とのマッチングを求めている声も多く、その実現も目指してまいります。

4つ目は、循環型組織を目指すことであります。
地方韓商をはじめ、顧問団、理事、監事、会員の情報や意見を仕組みで吸い上げ、それを元に、各レベル(部会、委員会、執行部、理事会、総会等)が精査をし、正しい判断を下す必要があります。この循環を円滑に行えるよう、具体的には、役員・会員の皆様に様々な委員会等を経験する機会を提供し、在日韓商のあらゆる側面を見ていただくことが大事と考えております。そして、人材の流動性を活性化させるため、第59・60 期に委員会レベルで検討を行った、個人資格での入会ルール作り等の研究も継続して進めていきます。

5つ目は、経済組織として韓日関係改善の一翼を目指すことであります。
韓国と日本の関係は、尹錫悦新大統領の誕生と、日本の岸田内閣の発足を主な要因として、改善に向かっています。また、知日派の尹徳敏氏が駐日韓国特命全権大使に任命されるなど、両国関係がさらに改善に向かう事が期待されます。日本の地で韓国商工会議所を名乗る我々は、この機会を経済組織としての利点を最大限に活かしながら、関係改善の一翼を担う事ができるのではないでしょうか。そしてそれは、我々の責務ではないでしょうか。駐日韓国大使館をはじめとする公館、そして両国の各組織と連携しながらできることを模索し、実施していきます。

在日韓国商工会議所は日本各地の地方韓商の集合体であります。対話と和合を基本路線とし、地方の声と力を集結、集約し、相互理解と協力で未来を築いていかなければなりません。主役は地方韓商の皆様であります。

地方韓商の成長なくして在日韓国商工会議所の発展はあり得ません。地方韓商の成長とは、地域社会で事業や生活を行っている在日同胞一人ひとりの発展であります。韓商の運営においては、地域によっては、存続の是非が議論されている状況です。一方、この様な時だからこそ、地域の経済人の交流、団結を求める声も聞かれます。今一度、地方韓商の皆様と、在日韓商が一致団結し、事業の維持・発展、そして、地方韓商の活性化、また、在日同胞社会が抱える課題の克服に向け、経済団体ならではの特徴を活かしながら、取り組みを加速させていきたいと考えております。

これらの実現のため、様々な取り組みを実施していくうえで、皆様のご協力は必要不可欠であります。本年も、顧問団、会員、地方韓商はもちろん、公館、民団、婦人会、青商、青年会、民族系金融機関、韓企連、韓人会をはじめとする同胞の皆様、そして、日韓親善協会をはじめとする日本の皆様と手を取り合いながら、同胞経済人の活動、そして地域社会の発展に貢献できる様努めてまいります。
引き続き、皆様からの多大なるご支援、ご協力をお願いし、私の年初のご挨拶とさせていただきます。

求人・就職